GCP.Network 研究の結果

GCPネットワークでの摂食障害についての研究報告

参加者

2,288人のGCPNのメンバーが以下の5つのうち1つの言語でこの研究を完了した;英語(n=1061; 46.4%)、スペイン語(n=315; 13.8%)、日本語(n=340; 14.9%)、フランス語(n=219; 9.6%)、中国語(n=353; 15.4%)。 

参加者の特徴

平均年齢: 44.5歳(SD; 10.8歳)
職業経験の平均: 13.8年(SD; 9.9年)
男女比: 65.3%: 34.7%

主な結果と臨床への示唆

1.

改訂ICD-11ガイドラインにより摂食障害の診断の正確性が向上した。 ICD-11を用いると、ICD-10を用いるよりも一貫して診断の一致率が高かった

これらの結果により、今回提唱された、ICD-11の摂食障害における個人の状況についてのガイドライン構造の変更により、ICD-10の診断ガイドラインよりも診断の一貫性と明確性が高くなることが示唆される。

2.

ICD-11への回避/制限型性食物摂取障害(ARFID)及び過食性障害(BED)の追加は、フィールドスタディの結果から支持される。

の回避/制限型性食物摂取障害:

ICD-11にARFIDを追加したことにより、ICD-10分類(幼少期と小児の摂食障害)が拡張、改名され、不十分な量または種類の食べ物を食べることで特徴付けられる状態を、より詳細に記述できるようになった。症例対照フィールドスタディの結果から、ARFIDの追加により、ICD-10で利用できた診断の選択肢と比較して、診断の選択が有意に明確になった。さらに、臨床家にとって、ARFIDと神経性無食欲症の症例を区別することが難しいのではないかと危惧されていたが、ICD-11のガイドラインを用いることにより、この2つの症例を区別することに成功した。また、GCPNのメンバーはARFIDと正常範囲の偏食も明確に区別できた。今回提案された、ICD-11の摂食障害セクションへの重要な変更は、新しい診断分類として、過食性障害を追加したことである。ICD-11を用いることで、参加者は、肥満と記述された症例を含め、神経性大食症と過食性障害を適切に区別できた。さらに、臨床家は、症例が、過食性障害と比較して、正常範囲の過食(食事に対するコントロールを失っているという感覚がなく、食事をした時に感じる罪悪感やストレスが非常に小さい)を記載している時にも、診断に成功した。

過食性障害:

ICD-11にARFIDを追加したことにより、ICD-10分類(幼少期と小児の摂食障害)が拡張、改名され、不十分な量または種類の食べ物を食べることで特徴付けられる状態を、より詳細に記述できるようになった。症例対照フィールドスタディの結果から、ARFIDの追加により、ICD-10で利用できた診断の選択肢と比較して、診断の選択が有意に明確になった。さらに、臨床家にとって、ARFIDと神経性無食欲症の症例を区別することが難しいのではないかと危惧されていたが、ICD-11のガイドラインを用いることにより、この2つの症例を区別することに成功した。また、GCPNのメンバーはARFIDと正常範囲の偏食も明確に区別できた。今回提案された、ICD-11の摂食障害セクションへの重要な変更は、新しい診断分類として、過食性障害を追加したことである。ICD-11を用いることで、参加者は、肥満と記述された症例を含め、神経性大食症と過食性障害を適切に区別できた。さらに、臨床家は、症例が、過食性障害と比較して、正常範囲の過食(食事に対するコントロールを失っているという感覚がなく、食事をした時に感じる罪悪感やストレスが非常に小さい)を記載している時にも、診断に成功した。

3.

神経性無食欲症からの回復過程での診断と、”主観的”な過食性障害の診断の重要性には、より詳細な分類を必要とする。

フィールドスタディでテストされたガイドラインにより、神経性無食欲症の患者は、診断が取り消されるまでに、治療なしで少なくとも1年間体重増加/維持が続くべきであることが示唆された。このガイドラインの目的は、治療の結果により神経性無食欲症の診断に必要な痩せを満たさなくなった患者が、実際には同じ疾患の一時的な症状であるものに、他の診断名(例えば神経性大食症)を付けられることがないようにすることである。しかし、フィールドスタディに参加した臨床家の中で、ガイドラインのこの側面に混乱が生じたため、ICD-11の現行版では、さらに明確に記載されている。 current version of the ICD-11 guidelines.

ICD-11で、神経性大食症と過食性障害の診断のために提案されている過食の定義は、患者がエピソードの中で、食事に対するコントロールの喪失を経験し、いつもよりあきらかに多く、または違った食事をし、食事をやめられない、または食べるもののタイプや量を制限できないと感じることを含んでいる。このように、過食のエピソードの中で、客観的に多く食べ物を消費することは必ずしも必要ではない;このガイドラインを満たすには、コントロールを失っている中で、主観的に多くの食べ物や異常なタイプの食べ物をとることで十分である。研究結果から、”主観的”過食について混乱が見られた;臨床家は、正常体重の患者よりも、肥満の患者に、より性格にこのガイドラインを適用した。ガイドラインのこの側面については、ICD-11の現行版で、さらに明確に記載されている。 current version of the proposed guidelines

FURTHER READING:

Al-Adawi, S., Bax, B., Bryant-Waugh, R., Claudino, A. M., Hay, P., Monteleone, P., Norring, C., Pike, K. M., Pilon, D. J., Herscovici, C. R., Reed, G. M., Rydelius, P.-A., Sharan, P., Thiels, C., Treasure, J., & Uher, R. (2013). Revision of ICD: Status update on feeding and eating disorders. Advances in Eating Disorders, 1, 10-20. Doi: 10.1080/21662630.2013.742971