ICD-11 トレーニング

ICD-11の使用について学ぶことで、臨床家の皆さんは、精神障害に関する最新の理解に基づいて日常臨床を行うことができるようになるでしょう。

Geoffrey M. Reed

世界保健機関、精神保健・物質乱用部

1. GCP.Networkの学習用プラットフォームがICD-11ガイドラインの施行にどのように役立つとお考えですか?

ウェブサイトのこの部門で提示しているトレーニングモジュールはフィールドスタディで得られた示唆に基づいており、臨床家がICD-11ガイドラインを完全に理解し利用するために最も役立つよう意図されています。 ICD-11フィールドスタディを通し、ガイドラインで大きな変更があった場合にGCP.Networkメンバーはその変更を認識し適用しますが、変更が些細なものである場合は見逃される傾向にあることに我々は気づきました。

トレーニングモジュールはガイドラインの主な変更点について取り上げています。たとえば、統合失調症および他の一次性精神病性障害群のモジュールでは、ICD-11ガイドラインでどのような変更があるかを挙げています。ICD-11では統合失調症の亜型分類(すなわち、妄想型、破瓜型、緊張型)は使用せず、代わりに 存在する症状(陽性症状、陰性症状、抑うつの気分症状、躁病の気分症状、精神運動性の症状、認知症状)に注目した症状分類を用いています。トレーニングモジュールでは、新ガイドラインのニュアンスと、それをどのように解釈したらよいかを説明しています。たとえば、あるモジュールでは、強迫性障害における強迫観念とうつ病の部分症状としての反芻の鑑別について論じています。

GCP.Networkのメンバーになると、メンバーはこれらのトレーニングプログラムに最初にアクセスし、モジュールの構造と機能についてフィードバックを行うことができ、トレーニングの開発と改良に参加することができます。こういったプロセスを経ることで、GCP.Networkメンバーは各々の職場やひいては居住国においてICD-11関連のトレーニングを行う際に貴重な人的資源となることができ、最終的にはICD-11の普及に寄与することにもつながります。

2.なぜ世界中で臨床家が新ICD-11ガイドラインを理解し利用することが重要なのでしょうか?

国際疾病分類はWHOに加入する194カ国が保健関連情報を収集し報告する際のWHO基準で、この基準を共通で用いることで保健関連のデータ比較が世界規模で可能となります。多くの国で、診断および医療費算定のために必要な報告用フォーマットとしてもICD-11が採用されることになるでしょう。

仮にICD-11を臨床報告基準としてすぐに採用しない国においても、 臨床家がICD-11の使用について学ぶことで、精神障害に関する最新の情報に基づき診療を行うことにつながります。ICD-101980年代に開発され、その時代の知識を反映しています。その後30年間を経て、臨床、基礎、疫学研究による多くの成果により、人々の精神および行動の障害の捉え方は変わってきています。これらの知識はICD-11の開発に組み入れられ、臨床家が最高のケアを行うことにつながるでしょう。

3.トレーニングに関する資料は、臨床家が新ガイドラインを用いるためにどのように役立ちますか?

トレーニングモジュールは簡潔で実践的なものとなっています。モジュールは分類および診断的ガイドラインの変化の背景にあるガイドのための理論およびその根拠について論じています。たとえば、ICD-10では強迫性障害とその関連障害は同一グループではありませんでしたが、ICD-11では強迫性障害と醜形恐怖症を同一グループとしており、モジュールではその理由について説明があります。モジュールには新ガイドラインの主な変更点およびさらに細かい変更についても説明があります。モジュール中には標準化された症例に新ガイドラインに適用する練習も設けられており、GCP.Networkメンバーは自身の理解度を評価することができます。

4.新ICD-11ガイドラインが臨床の場で正しく適用されると、臨床家や患者にとってはどう役立つでしょうか?

ターゲットとなる病態と治療法の選択を定義する分類システムが、緻密さ、妥当性、臨床的有用性の点において優れたものでなければ、人々は適切なメンタルヘルスサービスを受けることはできません。

臨床的有用性はICD-11ガイドラインの開発における重要事項です。疾病の経過や、心理学的および薬理学的治療に対する反応性に関する科学的エビデンスもガイドライン開発の際に考慮されました。

臨床家が世界規模の臨床情報とコンセンサスに基づく分類システムを用いれば、メンタルヘルスの治療を要する人々を同定したり、診療を行ったりするうえで役立つでしょう。

5.どうしたら臨床家は新ICD-11ガイドラインに関するトレーニングプログラムを最も効果的に活用できますか?

我々はGCP.Networkメンバーに、定期的にトレーニングの入り口ページをチェックするよう勧めています。新しい情報がトレーニングに加えられると、その都度GCP.Networkメンバーにはメールでの告知を行っていく予定です。

新ガイドラインを理解して、実際の患者様に適用したら、あなたの実際の体験に照らし合わせてガイドラインがどうだったか、我々との情報共有のためにコメントをお寄せください。こうして、GCP.NetworkメンバーはICD-11の開発と施行に参加していただきます。